「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎(新潮社)

ゴールデンスランバー
首相暗殺犯の濡れ衣を着せられた主人公の逃亡劇。警官だらけの仙台市街を逃げ回るんだけど街中にテロ対策という名目で導入された監視システムが張り巡らされているという設定が面白かった。文章は平易で読みやすく、登場人物たちはいちいち魅力的、ぐいぐい引っ張るストーリーテリングは見事、下調べを基にしたリアリティも十分でアクションもしっかりしてる。あっというまに読み終わり爽快な読後感が残る、とてもいい読書体験だったと思う。でも、こんな優秀な作家の思考実験の結果がこれなのかよ…という落胆がじわじわくるんだよな。あ、それが狙いなのか…。