「硝子のハンマー」貴志祐介(角川文庫)

硝子のハンマー (角川文庫)
最新の防犯システムを備えたビルの最上階で発生した密室殺人に、警備のエキスパートが挑む。
冒頭のさえない警備員の描写(深夜の水着番組をだらだら見ながら酒を飲む)から引き込まれて、事件発生、名探偵登場とテンポ良く引き込まれた。読み手の推理をわずかに上回るもしくはわずかに別方向の推理を提示して、なるほどと思わせつつひっくり返す展開はあざとい寸前のバランス感覚。残りのページ数からして正解じゃ無いってことは感じてるんだけどついつい信じたくなる。うまいわ。(巻末のインタビューで「別解」という言葉を使っててなるほどと思った)
という感じで作者に対する信頼感を持ったところで後半戦。あれれ?おおお…という感じで。良かったです。僕は好き。クライマックスから目が放せずに久々に電車を降り忘れる読書ができました。