「映画を夢みて」小林信彦(ちくま文庫)

ワイルダーは(..中略..)人間の愚かしさそのものを笑っているのである。(p42)
という記述に倣えば、クドカンは「木更津」で“死”を「マンラブ」で“恋愛”を<笑って>きた。IWGPでは“暴力”を笑いきれず「ゼブラーマン」は“ヒーロー”を笑って失敗したといえるかもしれない(グループ魂では“パンク”を笑う)。そして常に“ドラマ”や“映画”という枠組みを笑おうとしている。三谷幸喜が喜劇そのものを書こうとするのに対し、クドカンにとって喜劇は批評の手段にすぎないのではないか。いや違うな、対象を笑うことで喜劇を成立させているということか。