坂口安吾の推理(探偵)小説論

紳士同盟ふたたび (扶桑社文庫 (こ13-2))
小林信彦紳士同盟ふたたび」の巻末のミステリ論考で引用されていた坂口安吾の文章がすべて青空文庫にありました。いい時代だ。
私の探偵小説

解決のところを切りとったり、糸で縫いつけておいて、回覧して犯人の当てっこをする。平野謙が最も成績優秀で

「犯人当て遊び」ができる作品がもうあまりないのかもしれないけどそもそもそんな酔狂な仲間っていないわあ。っていうか結末綴じられたままガマンできませんよ。
推理小説論
この論に登場する作品が未読なら、すかさずブラウザを閉じて書店に走るべし。

小栗虫太郎などはヴァン・ダインの一番悪い部分の模倣に専一であって

うわあああ…そんな言い方! 僕は衒学的な部分が魅力だと思ってますよ。「黒死館」はホントびっくりしつつ笑いつつ読みました。
推理小説について
横溝正史「蝶々殺人事件」へのツッコミ。
いい機会だったので横溝「蝶々殺人事件」「本陣殺人事件」、角田喜久雄「高木家の惨劇」、鮎川哲也「黒いトランク」、松本清張「時間の習俗」、高木彬光「刺青殺人事件」をひととおり読んだんだけど「蝶々―」がいちばん面白かったっす。横溝正史の映像作品の猟奇性から敬遠してきたことを深く後悔しながら、きちんと刊行されてる未読作品群にうれしくなるのでした。