「透明人間」浦賀和宏(講談社ノベルズ)

透明人間―UBIQUITY (講談社ノベルス)
不幸な育ちの孤独な女子が巻き込まれる不可解殺人。ミステリというかジュブナイルを感じた。
前半は、主人公女子の彼氏によるいじめられ方とその動揺する姿に身をつまされながら淡々と読み進め、中盤で一気に引き込まれた。電車を降りて家に着くまでの間「先が読みたい」という悶々とした気持ちで胸が一杯になった。こういう作品は久々だった。
この作者の著作は初めて読んだけどずいぶん映画や音楽が好きな方だなと。それも割とライトな感じで分かりやすいというかそのままな引用がされててそれが物語中明晰とされている登場人物がとうとうと語るというペダンチックなんだかありがたいんだかわかんないけど世代の移り変わりみたいなのをうっすらと感じたことだった。参考文献の筆頭に町山氏の著作を持ってきたりして明らかにわざとやってるんだけど、他もこういう感じなのだろうか。手に入るものから読んでみようと思う。