「作画汗まみれ 増補改訂版」大塚康生(徳間書店)
長文引用三連発すみません。ファースト「ルパン」ファンとして見過ごせないもので…。
1971(昭和46)年10月24日に放映が開始された『ルパン』の視聴率は関係者の期待を大きく下まわり、ときには4%というひどい数字を記録してしまったのです。第1話が放映されるとすぐに局での緊急会議が開かれ、5話目の『十三代目五ェ門登場』あたりで、スポンサーも「ムービー」も呼ばれた拡大会議が招集され、いままでの方針の全面的な再検討を迫られました。夕方の再放送では同級生男子視聴率120%なんだけどな…。それもリピーターだから根強いはずなんだが。
比較的余裕のあった第11話『7番目の橋が落ちるとき』と、第13話以降のほとんどが高畑・宮崎演出となってコンテ改訂作業が行われ、『7番目の橋が落ちるとき』、第13話『タイムマシンに気をつけろ!』、第14話『エメラルドの秘密』、第15話『ルパンを捕まえてヨーロッパへ行こう』、第23話『黄金の大勝負!』などが前半とうってかわった高畑・宮崎演出の特徴が鮮明に出ています。し、知らなかった。見返えさなければ!
ある日、『新ルパン』の演出家と鈴木清順さんたちを囲んで食事会が開かれた時、あるスタッフが胸をはって、こういうこと言えちゃう人が出世してんだろな。
「我々の『ルパン』が質において、旧『ルパン』に勝っているのは視聴率で見ても一目瞭然である」
と言っていましたが、居合わせた私は「そうかもしれない。それはお客さんが決めますよ」とだけコメントしておきました。