「闇の楽園」戸梶圭太(新潮文庫)

成績最悪で上司にいじめられてる通信系セールスマンが、ふとしたキッカケで応募した町おこしのアイデア募集に見事採用! ところが町おこしの現場はドラ息子議員のおかげでとんでもないことに。そこに新興カルトまであらわれて長野の過疎地にメチャメチャな騒動が…。
断続的に読み続けてやっと読了。ジェットコースターとはいかないまでもぐいぐい引っ張るトロッコ的強引さが心地よい作品。「激安人間」と思われた登場人物が徐々に人間的で確固たる意思をもった魅力的な人物に生まれ変わる姿が楽しい。これドラマだと役者でキャラがばれちゃう、ばれない演技もあるかもだけど「格」で重要度がばれる…そこをかいくぐっているのが「相棒」ではあるんだが、それはそれで有効性に疑問もあったりして、ともかく読者の想像したキャラを破壊してゆく小説ならではの面白さかな、と思いました。