「誰か somebody」宮部みゆき(実業之日本社)

読了。現代犯罪の加害者、被害者双方の人権(という概念の正当性?)についての考察をめぐらす「模倣犯」までの流れからは外れ、一つの犯罪がきっかけとなり呼び起こされた水面の波紋を丹念に描く。ぽっかり空いた穴は小さいけどのぞき込むと限りなく深く、漆黒の闇があふれ出してきたようなザワザワした読後感。作品の質とは全く関係ないのだけど、下世話な感想を言えば彼氏に向けた作品とも読めたりしなくもない。