「戦場のピアニスト」(02年)

この作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディ。授賞式を見ながらその地味な外見に「この作品だけで消えるんじゃなかろか」と思ったが、この歴史に残る作品で堂々たる主役を張った、それだけですばらしいキャリアを築いたんだということを思い知らされた。脱帽。ナチスの迫害からひたすら逃げ続ける主人公は、歴史の中でただただ無力で、同僚が目の前で撃ち殺されても声を上げることすら出来ない。声を上げればすかさず殺されてしまう。感情を殺し、異常な状況に順応してゆく姿は悲しいと同時に深く納得させられる。スクリーンの中に放り込まれたら自分は生き残れるのか? 戦うのか? 殺すのか? そんなことを考えながら観ていた。
目を赤くして席を立ち、プログラムを買いに行った劇場の通路で両親に遭遇。なんか急いでるとかで挨拶もそこそこにサヨナラ。年金生活者とはいえ、無職のオレよりは忙しい。