「松ヶ根乱射事件」(監督:山下敦弘)

ガンダーラ映画祭で見た「パリ、テキサス、守口」が最高に面白かった山下監督の最新作を見た。
観客がスクリーンにのめり込むことを拒否するような、というか安易な共感を許さないというか、笑いのポイントだけじゃなくてクライマックスになりそうな予感を次々に外し続ける、期待を裏切るんじゃなくて期待させてオシマイ、はい次!という心地悪さの心地良さ…ちがうなあ、それが決してイジワルじゃなくてサービス精神という…屈折…してないしでも天然でもない、狙いどころがオカシイとしかいえない。
ずっとザワザワして不穏な空気に包まれてのめりこまれることを回避しつつ劇場全体に松ヶ根の空気が漂うような、スクリーンからもわ〜っとしたなんともいえない嫌な感じがにじみ出てきてやがて苦笑い、常に苦笑い、眉間にしわ寄せて楽しむエンタテインメントってありなんだなあと思いました。