「ピンチクリフ・グランプリ」(監督:イヴォ・カプリノ)

ノルウェーで1975年に制作された人形アニメ
主人公は切り立った崖の上の一軒家に雄鶏とハリネズミと暮らしている。そこにははいろんな機械がいっぱい。風力発電で井戸の水をくみ上げたり(人形アニメに水が出てくると興奮する)、丸太を加工して細い棒にしたり(実際に木屑が吐き出され、細い棒が次々に切断される)、ジャッキで自分を持ち上げたり、その過程を細かく見せてくれるので楽しい。
干しぶどうを食べながらテレビのニュース番組を見ていると(干しぶどうをねだるハリネズミがかわいい)かつての弟子がレース参戦し好成績を収めているという。そのカギとなるシステムは主人公が発明したもので弟子はそれを盗んで出て行ったのだった。レース参戦に意欲を見せる主人公だったが田舎の貧乏暮らしでは資金調達の目処は無い。
レース参戦をあきらめきれない雄鶏はたまたま村に立ち寄ったお金持ちを発見する(札束でハエをはらっている!)。お金持ちはターバンを巻いた石油王でロールスロイスにゴリラの運転手と雌鳥(へそピアスにピンクのビキニ姿!)を従えている。雄鶏のメディア戦略が功を奏しカーマニアでもあった石油王は経営するガソリン会社の宣伝のために(とか言いつつ燃料はアルコール。ピットクルーが飲んだりする)スポンサーになる。
一年がかりで完成したマシンは見た目はクラシックながらも12気筒、レーダーや二つのスピードメーターがついた最強のレーシングカーだ。その完成披露パーティはテレビ中継され吟遊詩人(三年間の放浪補助金を国から得る…ウラヤマシイ!)の朗読やジャズのバンド演奏が入る盛大な式典。石油王の運転手のゴリラもドラマーとして参加し見事な腕前を見せる(ちなみに主人公はハーモニカ、ハリネズミ口琴)。ピアノは実際の指の動きを再現するという(パンフより)凝りようで、これまでの登場人物が総登場して一つのクライマックスとなっている。ここで気付いたのはこの村には老人と動物しかいないことだ(レースをテレビ観戦する家庭には子供がいる。サーキットには若者がいる)。
ここでいよいよレースとなるが、書くスピードが追いつきませんわ。あ、ひとつだけ、レースを見る人たちの首の動きが素晴らしい。人によって動きがずれているのは見ているクルマや身体の動き方に個人差があるのだからあたりまえだけど、人形アニメで人間のリアリティが表現されてることに驚きました。DVDは必ず買う。